遺言書の法務局保管制度について 240906
自筆で作成した遺言書を、法務局への届出により保管することができる「自筆証書遺言書保管制度」が令和2年から始まりました。
自筆証書遺言、つまり手書きの遺言書は、遺言者本人が自分だけで作成できる点で、手軽に本人の意思をのこせる遺言です。
しかし、遺言者の死亡後、相続人に発見されなかったり、相続人に棄てられたり、書き換えられてしまうといった「保管」についての危険があります。
このような危険を避けるため、本人が自筆で作成する代わりに、公証人が関与して遺言書を作成し、公証人役場に保管する「公正証書遺言」というものがあります。
これによって紛失や遺棄される危険を避けられる反面、公証人役場での手続が煩雑だったり、手続には証人2名を同席させる必要があるなど、また費用的にも敷居が高い部分がありました。
そこで、自筆の手軽さのメリットに加えて、保管の問題点を解消するための方策として「自筆証書遺言書保管制度」が創設されました。
この制度は法務局への届け出により法務局によって遺言の保管がなされ、遺言書の紛失などが防止されます。
また、作成にあたり必要なルール(重要部分は必ず手書き、作成日付を書く、サインとハンコまたは拇印が必要)を守らなければせっかく作った遺言書が使えなくなります。
そのようなルールが守られているかのチェックを法務局が行うため、より安心して遺言書を作成できます。
また、遺言書の存在を法務局に確認できる制度や、遺言者が亡くなった際に、遺言書の宛名人に遺言書の存在を伝える通知が届くなど制度があります。
また、自筆証書遺言を自分で残した場合に、相続開始後には、家庭裁判所における検認の手続(遺言書があること、そしてその内容を相続人全員に確認して貰うための手続)が必要ですが、自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は、検認手続が不要となります。
また法務局への届け出の手数料(収入印紙)も3,900円と低めの設定です。
このように、メリットの多い法務局保管制度、万が一に備えて遺言書を残す際にご検討ください。
具体的な遺言書の内容や、届出に関する手続については、当事務所にてご相談をお受けいたします。お気軽にお問い合わせください。
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